株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:ダニー・リスバーグ)は、フィリップスのオランダ本社、ロイヤル フィリップス エレクトロニクス(NYSE:PHG, AEX:PHI、以下 フィリップス)が国立大学法人 千葉大学(学長:齋藤 康、以下 千葉大学)と行ったLED照明を利用したトマト栽培実験において、フィリップスのLED照明の補光でトマトの収量や糖度、ビタミンC含有量の向上が実証されたことを発表しました。
今回のトマト栽培実験は、フィリップスの植物育成用LED照明「Philips GreenPower LED interlighting(フィリップス グリーンパワーLEDインターライティング、以下 インターライティング)」を利用し、千葉大学 大学院園芸学部研究科 丸尾 達 准教授の研究室にて行われました。その結果、フィリップスのLED照明「インターライティング」を利用してトマトの温室栽培を行うと、トマトの収量が17%向上するだけでなく、糖度が12%、ビタミンCの含有量が19%向上することが分かりました。フィリップスのLED照明を使用することで、トマトの収量だけでなく食味も向上し、流通市場で競争力のある価格設定を可能にします。
製品名
「Philips GreenPower LED interlighting (フィリップス グリーンパワーLEDインターライティング)」
特長
トマトやバラなど、背丈のある植物への補光に最適なLEDモジュールです。熱の少ないLEDは、条間の狭いスペースにも安心して設置することができ、日陰になりやすい植物体の下位葉や花、果実にもムラなく光を届けられます。また、植物の成長に必要な波長を効率良く近接照射することで、収量の向上や作物の品質向上も促進します。
実験概要
1. 実験の背景・目的
千葉大学では、限られたスペースにトマトを高密度に植栽し、より効率良く収量を確保可能な高生産性の新たな栽培方法を研究していました。フィリップスのLED照明「インターライティング」は、熱放射の少ないLED照明のため、植物への近接照射が可能で、トマトの株の側面から光を照射することができる特徴的な製品です。太陽光が当たりにくい下位葉にも適切に補光ができることから、その効果検証を目的に、今回、千葉大学のトマト試験温室に導入・設置されました。さらに、「インターライティング」は、トマトの光合成に有効的に作用する赤色光、青色光のLEDを搭載しているため、トマトの収量、果実重量、栄養素、食味、に対する効果が期待されていました。
2. 実施期間
2012年2月から4月の間の約1カ月、合計2回
3. 実験方法
果実肥大期のトマトの株において、1日16時間、継続的に光を照射
4. 結果
- トマトの収量が17%*1向上(乾物重は21%*1アップ)
- 糖度が12%*1アップ、ビタミンC*2含有量が19%*1アップ
- 食味(美味しさ)の向上*3
- より大きくずっしりとした果実、しっかりした果皮の果実に
*1 数値は2回の実験の平均値
*2 アスコルビン酸
*3 アンケートによる結果
今回、千葉大学が取り入れた栽培方法は「シングルトラス」と呼ばれ、通常の長期多段栽培ではなく一段栽培にすることで、栽培管理における人的・ハード的な負担を軽減・簡易化することが可能です。一方で、株の植栽密度が高いため下位葉に太陽光が届きにくくなりますが、フィリップスのLED照明「インターライティング」の補光により、トマトの収量および果実品質が向上することが実証されました。今後この栽培手法が、生産者に浸透し活用されることが期待されます。
千葉大学大学院 園芸学研究科 丸尾 達 准教授のコメント
「フィリップスは歴史ある照明メーカーで、LED照明、そして植物育成用LED照明の分野でも最も優れたソリューションを提供しています。様々な実験をフィリップスと共同で実施するのはとても嬉しいことです。フィリップスには、施設園芸用照明の専門チームがあり、植物学者やアプリケーション・エンジニアといった専門家による独自のノウハウを保有しています。意義あるソリューションを探求する継続的な取り組みは、フィリップスならではの強みだと思います」。
株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン ライティング事業部 事業部長 岸 和紀のコメント
「日本の施設園芸の権威である千葉大学と共同研究が出来たことを光栄に思います。LED照明には、省エネだけでなく、光の波長がもたらす植物・作物への効能があることが実証できたことは、光源メーカーとしてのルーツを持つフィリップスとして大変嬉しく思います。農業従事者、そして作物を口にする生活者にもベネフィットを提供する植物育成用LED照明に、今後も注力していきたいと思います」。
世界で先進の実績を持つ、フィリップスの植物育成用LED照明「GreenPower LED」について
植物育成用LED照明は、人工光を利用した温室栽培や植物工場で積極的に導入されており、白熱灯や蛍光灯などの従来光源を利用した場合に比べ、LED照明では60%以上*の消費電力削減が可能です。また、LED照明では植物の光合成に最も作用する赤や青の波長域の光をつくりやすいことから、それぞれの植物に見合った最適な光を効率良く照射し、効果的に植物の成長促進を測れるというメリットがあります。熱が少なく、既存光源に比べ、植物に近い距離から照射でき、省スペース化と生産性を高められることも特長です。 *当社調べ
フィリップスは、農業大国オランダで培った施設園芸用照明のノウハウをもとに、LED照明においても、欧米を中心に生産者や育苗家、研究機関と豊富なフィールドテストを実施してきました。そこで得た100件以上の成功事例をもとに、フィリップスでは植物ごとに異なる最適な光の条件(照射時間、当て方、光の波長や強さの調整など)を“光のレシピ”と呼んでいます。「GreenPower LED」シリーズ製品の供給とともに、フィリップス独自の“光のレシピ”の提供により、お客様の生産性や作物の質の向上をサポートしています。
植物育成用LED照明の詳細につきましては、こちらをご覧ください。