※この報道用資料は、2012年6月17日にブラジル リオデジャネイロで発表されたプレスインフォメーションの抄訳です。
- パイロット試験実施都市の住民は、LED照明の導入により視認性と安心感の向上を報告
- LEDの使用で毎年6億7000万トンの温室効果ガスの削減が可能
- 「クリーン・レボリューションキャンペーン」が各国政府に優先政策としてLEDの市場促進を要請
ブラジル、リオデジャネイロ‐LED(発光ダイオード)を使用した街路照明への切り替えで、最大85%の省エネを実現できることが、独立した世界規模の技術試験によって確認されました。また、この試験が実施されたパイロット都市の住民は、社会的、環境的にメリットがあるとして、LED照明を強く支持していることも分かりました。
LightSavers(ライトセーバーズ)と呼ばれるこの調査は、独立した2年半におよぶ世界的パイロット試験で、ニューヨーク、ロンドン、カルカッタ、シドニーなど12都市で15の個別テストが実施されました。この調査結果が、この度初めて「Lighting the Clean Revolution:The Rise of LED Street Lighting and What it Means for Cities(クリーン・レボリューションに火を灯す:LED街路照明の台等と都市にとっての意味)」と題するレポートで発表されました。
このレポートは、LED技術の世界的な市場状況と将来性を調査し、大型LED装置への切り替えや投資を検討している政策責任者や都市の照明責任者への指針となります。また、このレポートは国際NPO組織ザ・クライメート・グループとフィリップスの共同で制作され、「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で「クリーン・レボリューションキャンペーン」の一環として発表されました。これは、大幅なエネルギー削減が、事実上わずか一晩で比較的低コストで達成できるという、この運動の論旨を裏付けています。
レポートの主な内容:
- カルカッタ、ロンドン、シドニー、トロントでの調査から、市民はLED照明を支持しているという結果が出ました。回答者の68%から90%が、市内全域でLED技術を展開することに賛成しています。また、これらの調査で明らかになったメリットは、安心感と視認性の向上でした。
- 試験に使用したLED照明の寿命は5万時間から10万時間におよび、LED照明の投資回収率の高さが示されました。
- LED照明は、交換が最小限で済む耐久性の高い技術であることが確認されました。6000時間以上経過時の故障率は1%程度であり、例えば、従来照明の同条件での故障率が約10%であることと比較しても低い数値であると言えます。
- LED市場は現在、普及拡大期を迎えています。2020年までに60%の市場拡大が予測されているように、市場への浸透が加速しています。最近刊行されたILO(国際労働機関)報告書 は、グリーン経済によって最大6000万人分の雇用創出が可能だと述べています。ザ・クライメート・グループ、フィリップスおよびパートナー企業は、各政府に対して、都市部でのLED拡大を促進するための投資を迅速に行うことで、世界中に多くの雇用を創出できるよう働きかけています。
- LightSaver試験によって、現在のLED技術は、ほぼすべての屋外用途に拡大できるほど成熟しており、経済的、社会的にも地域社会に対して多くのメリットをもたらすことが結論づけられました。
- ザ・クライメート・グループとフィリップスは、世界中の市民が省エネルギーな屋外照明を享受できるよう、低炭素照明の国際規格の制定実施を要請しています。
ザ・クライメート・グループCEOのマーク・ケンバー氏は次のように述べています。「このレポートは、LED技術が今や世界中の都市に拡大する準備が整ったことを明言しています。LEDはエネルギー効率が高く、拡張性があり、社会に対しても好影響で、まさに『クリーン・レボリューション』が進んでいます。私たちは現在、政府に対して、政策への障害を取り除き迅速に低炭素照明を使うように要請しています」。
フィリップス・ライティング グローバルパブリック アンド ガバメントアフェアーズ責任者のハリー・バーハーは次のように語っています。「このレポートは、エネルギー効率の高い最新のLED照明に全面的に切り替えることで、大幅な省エネとCO2排出削減の実現だけでなく、都市の環境をがらりと変えることにもなります。この照明市場の転換を推し進めることで、フィリップスのLED照明ソリューションが、地域住民やその来訪者にもメリットのある、住みやすい街づくりを創出できると考えています」。
住民にとってLEDのメリットは明らかです。カルカッタのラビンドラサラニで露店商を営むゴビンド・サハ氏(61歳)は次のように語っています。「毎晩、街灯の下で細々と営んでいた商売がこのLED照明のおかげで一変しました。以前はどの商品も黄味がかり、なかなか商品を買ってもらえなかったのですが、今は緑と青をはっきり区別してもらえるようになり、売り上げが増えました」。
照明は、世界における電力使用の19%、温室ガス排出量の6%を占めています 。世界中の照明効率を2倍に引き上げることができれば、EU圏内のすべての発電および熱生産から出るCO2排出量を半減させるのに等しい気候影響があると考えられています 。 他の多くの省エネ技術と同様に、高効率照明はこれから全世界に広がっていくでしょう。米国単体だけでも、照明によるエネルギー使用量を40%削減することで、年間のエネルギーコストを530億ドル削減でき、中規模発電所198基に相当するエネルギー需要の削減になります 。
レポートの全文は、こちらをご覧ください。
1「Working towards sustainable development: Opportunities for decent work and social inclusion in a green economy」 ILO(May, 2012)
2 IEA (2006) 「Light’s Labour’s Lost」 OECD/IEA
3 「家庭」には、家庭でのガスおよび電気の使用によるCO2排出量が含まれます。
数値データの出典:IEA 2011 「CO2 emissions from fuel combustion: Highlights」
4 年間出力2 TWhの発電所。データの出典:IEA分析に基づくPhilips Market Intelligence and IEA: Philips (2011) 「The LED lighting revolution: A summary of the global energy savings potential」